選抜Ⅱ 理科

 今週は、選抜Ⅱの理科について記載していきたいと思います。

 

まず選抜Ⅱの理科の過去7年間の平均点は以下のように推移しています。

 

 H24   H25   H26  H27  H28  H29  H30

  25.0  27.4  25.3  23.0  19.7  17.1  19.1

 

 理科も数学同様に、難化傾向にあります。理科においては、H28年度から平均点が3年連続10点台となり、選抜Ⅱの試験の中でも最も難易度の高い教科の1つとなっております。また、H27年度以降(H30年度はまだ全国の分析結果がでておりません)は全国47都道府県低得点ランキングで常にトップ5に入っており、H29年度の理科は、全国で一番得点率の低い入試となりました。

 

 これは、決して広島県の生徒さんたちの理科の学力が低いということではありません。私たちも問題を分析しますが、学校の授業、定期テストをきちんとこなしただけでは解くことができない問題がたくさんあります。その結果、41点以上を得点した生徒は、H28年度は全受験者数の0.6%、H29年度は全受験者数の0.9%、そして46点以上を得点した生徒は、2年連続0%となっております。

 

 ここまで難しい受験になっている要因としては、大きく3つあると考えております。

 

まず1点目は、数学同様に問題の長文化です。H25年以前は、問題ページが7~8ページ程度でしたが、H26年以降は、10ページとなり、H29年度には12ページまで増加と、1.5倍程度となりました。

 

 2点目は、これまで点数を稼ぐことができていた、基本語句問題や記号問題が、記述問題などと複合して出題され、それらが完答として扱われるようになったことです。以前の受験は、覚えるということができていれば、点数を確保できる問題が多くございました。しかし、現在の受験ではほとんどないと言っても過言ではありません。記号や語句に対してなぜそうなるのかという理由などが一緒に問われ、完答で点数になります。そのため、H29年度入試では、正答率が60%超えた問題は、たったの3問しかございませんでした。

 

 3点目は、基本語句を覚えるだけではなく、その意味、原理原則を理解し、活用する問題ばかりとなったことです。したがって上記しましたが、学校の授業内容、定期テスト問題を覚えたというだけでは、受験では全く太刀打ちできません。いかにそれらの本質を理解し、活用できるかが問われます。言葉では簡単ですが、これらに対してはかなりの学習量、そして学習の質、対策が重要になります。

 

 他にも要因はございますが、私としてはこの3点が大きく難化した要因だと捉えております。この難しい受験への対策を下記致します。

 

 まずは、確実に基礎知識重視の学習をしていくことが重要です。選抜Ⅱの理科の受験問題は4分野(物理、化学、生物、地学)が万遍なく出題される傾向にございます。また、数学同様に教育委員会からは、理科のだ受験問題で、科学的な「思考力」「表現力」を問うということが発表されております。そのため、図や資料の読み取りからの記述がベースの問題となっております。したがって、単元に関わらずしっかりと基礎知識をつけておく必要がございます。彩星館では、8月から受験に向けて全単元の対策を開始しております。社会は後日記載致しますが、理科、社会においては、学習する基礎知識も莫大なため、それらを定着させるだけでもかなりの時間を要します。ぜひまずは、中学生で学習した内容の基礎知識は確実に定着できるようにすることが大事です。

 

 次に、覚えた基礎知識を自分でしっかりと説明できる、すなわち記述できるようにすることが大事です。私たちの授業では、言葉を覚えてもらうことはもちろんですが、授業で覚えた言葉を生徒自身に説明してもらったり、原理原則はどのようなものか説明してもらったりすることで、表現する力を養っています。言葉を覚えるだけではなく、それがどのようなものなのか、そして本質、概念、原理原則は何なのかということを説明できるように学習して頂きたいと思います。

 

 広島県の受験問題で一番大事なことは、「実験」だと思います。実験の手順や内容、結果の考察に関する問題が大半を占めます。学校で行われる授業はもちろんですが、特に実験は本当に大事にして興味を持ってのぞんで頂きたいと思います。

実験としては、

 ①実験の目的

 ②実験で使用する器具名

 ③実験の手順

 ④実験の注意点

 ⑤実験の結果

 ⑥実験からわかること、考えられること(考察)

以上6点を意識しながら、学校の実験、勉強に励んで頂きたいと思います。

 

  最後に大事なことは、非常に難易度の高いことですが、上記した基礎知識や実験において「なぜ?」という疑問を持ち、その理由を明確にすることが大事です。受験においては「理由を答える問題」は全国的に出題されております。受験において高得点を確保していくためには、理由を答える問題の対策は必要不可欠になります。ぜひ普段から理科という学問において、疑問を持ち、それを解決する思考を養って頂きたいと思います。

 

 なお、実験や理由を答える問題においては、全国的に出題される傾向にあるので、数学と同様に他県問題などで対策していくことが好ましいと思います。ただこちらも数学と同様で、基本が定着していなければ、対策をしても時間の浪費になる可能があります。ぜひ学習、対策の順序を間違えず、基礎基本、原理原則を大事にして頑張って頂きたいと思います。

 

 理科は本当に難易度の高い入試となり、どうしても対策ばかりに目が向きがちですが、受験や高校進学後を見据えると、基本を確実に定着させることが最優先です。対策で方法論だけを学んでしまうと、今後学習するにつれ、必ず綻びが目立つようになってきます。ぜひ数学、理科に限らず、基本を大事に受験まで頑張って頂きたいと思います!